胎の中の記憶が流れてくる。
ただの形だった頃の。
音も映像も肌の感覚ですらまだ無く、時間すらもない。
ただ、新しい事続きの今。
生まれた頃、全てが遊びであった。
私の手や足や口の動きですら、何が出来るのか。
どこまで出来るのか気になって仕方が無かった。
できる制限も知らず、ただただ思うがままに動かしていた。
それの名前すらも知らなかった。
私が私と言う事も知らなかった。
赤ちゃんの頃、皆が知っていた。
アダムとイブが果実を口にする前の遊び方。
追い求める好奇心だけの、自分に純粋な遊び方。
制限が無く羞恥心も性別も無く、何でも出来るような日を生まれたすぐに知っている。
幼い頃、生きたいと思わなくてもただ生きていた。
いつから人は生きる死ぬを考えるまで暇になったのかな。